
以前のファースト・インプレッションで紹介してからおよそ1ヶ月。ZenFone 3(ZE520KL)を使ってみた率直な感想を述べていきます。
レビュワーレーティング
※レーティングは執筆者の個人の点数です。
見た目の進化、そして持ちやすく。
まず、ZenFone 3を手にしたときに「デザインがZenFone 2より良くなった」と感じました。2.5Dガラスにサンドイッチされた本体は手への収まりが非常に良く、スピン加工が浮き上がる背面の綺麗さも前モデルの少し残念に感じられたデザインから大きく進化したように感じます。
「持ちやすさ」もそうですが、「ボタン操作のしやすさ」も改良ポイントの一つです。ZenFone 3ではZenFoneの一つのアイデンティティでもあった背面の音量キーを排除し側面へ。そして電源キーも上部から側面へ移動しました。個人的にはこの点も前モデルと比べた大きな改良では無いかと思います。
しかし、もう一つのアイデンティティとでもいいましょうか。前面センサーキーにはもう少し進化が欲しかったです。
センサーキーという方式には、画面をより広く使えるというメリットも存在するので反対派では有りませんが、ZenFone 3のセンサーキーにはいくつかの不満があります。
バックライトが無い
ZenFone 5(国内投入されたZenFoneシリーズでは最初のモデル)からずっといわれ続けていることかとは思いますが、各センサーキーにバックライトがありません。無くても困らない人も少なからず居るかとは思いますが、ZenFone 3のセンサーキーは反応する範囲が狭いため、タッチする場所を誤ってしまうことが稀にありました。
感度が微妙
ここは指の乾燥具合や静電気みたいな細かな点も絡まってしまうのかもしれませんが、少なくとも私の環境では長押しがダブルタップに誤認識されることがよくありました。ZenFone 3のホームキーは長押しでNow On Tap、ダブルタップで片手モードという設定を割り振れるため、特にホームキー周りでは誤認識が発生しストレスを感じました。
各キーのデザインが…
ファースト・インプレッションでも少し触れた通り、デザインが好みでは有りません。こんなのどうでも良いと思う人も多いかと思いますが、全体的にクールなデザインなのにこのキーだけが悪い意味で浮いてしまっている印象を覚えます。
例えば、ZTE端末では「・ O ・」のようなデザインになっており、バックキーとリセントキーの入れ替えをすることも可能です。同じセンサーキーでも、こっちの方が優れたデザインのように感じます。
パフォーマンスに不満無し!
端末の性能に関して何も不満を感じませんでした。ゲームもネットサーフィンも動画視聴も難なく快適です。RAM不足に陥ることも無く、わざわざハイエンド端末を買う必要が無いのでは無いかと思うくらいのスペックです。
少なくとも私の利用する範囲内ではフリーズすることもパフォーマンスに関して不満を感じることも皆無だったので40,000円ちょっとでこのレベルという点を考えれば何も不満はありませんね。
バッテリーライフも非常に良好。一日は余裕で使えますし、設定次第では2日でも使えそうです。しかし、充電の遅さは少し気になります。5V/2Aと割と標準的なものではあるものの、9V/2Aに慣れると遅く感じてしまいました。
カメラはもう一踏ん張り
1600万画素/レーザーオートフォーカス機能/光学手ぶれ補正などスペックに関しては不満は少ないカメラですが、様々なシチュエーションで撮影するといくつかの点で弱点を感じました。
作例は数枚ではありますが割と良い感じに撮れる事も結構あります。しかし、多数の撮影機能が存在するZenFone 3ではその機能を上手く使いこなすことが求められるため、その点が少し面倒です。

明るい場所では勿論、暗所でもノイズまみれな画像にはならず結構綺麗に撮れるなと感じました。しかし、夜景に関してはノーマルモードでは無く「ローライト」や「夜景」などのモードを使いこなす必要があり、使い分けに少し悩むことがありました。全体的に暗いときはローライトモード、一部の明かりが強い場合は夜景モードで撮ると綺麗に撮れます。
しかし、ZenFone 3の弱い点は食品。ご飯です。全体的に淡く移ってしまう傾向のあるZenFone 3では悲しいことにご飯の画像が素っ気なく写ってしまう事が多く、この点の改善が求められます。
全体的に暗く淡い印象です。コレに関しては撮影時にマニュアルモードを利用してホワイトバランスを調整することで多少は改善しますが、そんなことをしてたらご飯が冷めてしまいます…。

カメラの機能が多いだけに食べ物を撮影するモードもあっていいかなというのが率直な感想です。ソフトウェアの問題かと思うので、メーカーがその気になればアップデートで改善されるでしょう。
指紋センサーは形状に難あり
以前のモデルの音量キーの位置には指紋センサーが搭載されました。Pegasusシリーズを除けば指紋センサーは初となるわけですが、精度はかなり高いです。解除されるまでの速度も一瞬で、他社のフラグシップモデルとも遜色ないレベルです。
ロック解除以外の機能も充実しており、ダブルタップでカメラを起動→タップで撮影というショートカットはまさに「一瞬をとらえる」の言葉に偽りなしでした。その他にも、着信に応答するには指紋を認証してからという機能もありこの点は良く出来ているように感じます。
しかし、他社のスマートフォンでは円形や四角形が多い中、縦に長い長方形の指紋センサーを搭載したZenFone 3では指の置き方次第では指を置いたと認識されません。特に斜めに認証しようとしたり、指紋センサーの半分以上を覆わない場合は上手くいきませんでした。
カメラに近いということもあり、カメラ利用時に指紋センサーでシャッターを切ろうとすると指が画像に写り込む事もあったのでここにも注意が必要です。
国内でも「DSDS」は普及する…?
しないと思います。それはさておき、ZenFone 3では「DSDS(デュアルSIM同時待ち受け)」に対応しており、待ち受け時はLTE+WCDMAでの通信が可能です。着信すると着信してない側のSIMでは通信が出来なくなるのでその点には注意が必要です。
例えばカケホーダイのSIMと大容量のMVNO SIMを組み合わせて利用するなんていう使い方も出来るのですが、一般人にそれが普及するかといえば首をかしげざるを得ません。面白い機能であることに間違いはありませんがね。
ここ最近のSIMフリー端末におけるトレンドになりつつあるau VoLTEにも対応。auのネットワーク網をどうしても使いたいという方には重要な点ですね。なお、日本国内以外で販売されているZenFone 3でも一時期利用が出来たものの、その後のアップデートで無効化されたことに注意が必要です。
au VoLTE以外にも「CA(キャリアアグリゲーション)」にも対応。私個人が確認した中ではCA_1-19/ CA_1-8 / CA_41Cには対応と思われます。
~思われます。と書いたのはASUS公式としては一切CAでの対応する組み合わせを公開していないからです。FREETELやHUAWEIではしっかりと対応する組み合わせを公開しているのでASUSもここに追随してくれれば良かったです。
Zen UIは発展途上。
Android 6.0と最新のZen UIを搭載したZenFone 3ですが、正直Zen UIはまだ発展途上であると思います。
出来る機能はたくさんあるのですがそれを引き出すことが難しく、そのために結局いい機能なのに埋もれてしまっている機能も少なからずあるのでは無いでしょうか。(一例ですが、こんな機能もあるよ!という紹介をした記事も書いています。ご参照ください。→ASUS ZenFone 3を買ったらすぐ使うべき11つのオススメ機能)
多機能なのは良いですが、それでごちゃごちゃとしてしまうのは論外。大事な機能でさえいらない機能の中に埋まってしまうのであればいっそいらない機能は最初から省いても良いのでは無いでしょうか。
例えば、カメラ。先ほどの項目でも触れましたが機能がかなりあります。例えば、一部の機能はGoogle Playストアからダウンロードする方式でも良いかと思います。
これはZenFone 3に限らずZenFoneあるあるですがプリインストールアプリも結構多いです。スクリーンショットは国内モデルのものではありませんが、やはり多いように思います。
通知領域を展開すると毎度のように表示される「通知の管理」は通知の多すぎるアプリをブロックするような機能なのですが、これがわざわざ毎回表示されるのが理解できません。更にトグルスイッチも上部のショートカットが最低でも4つ。下部のWi-Fiなどのトグルスイッチを最低でも8つ選ばなければならず、最小構成でも12個並ぶことになります。個人的には上部のショートカットは不要に感じており、煩雑としてしまう印象です。
勿論悪いことばかりでは無く、「スリープ時のダブルタップでスリープ解除」や「リセントキーの長押しでスクリーンショット」「ロック画面のアプリショートカット」「多彩なテーマ機能」などは個人的にも評価しており、今後もどんどん改善されていくことを願っています。
総評:久しぶりに燃えた一台
趣味上、たくさんのスマートフォンを扱うのですが、ZenFone 3は久々に燃えました。
Zen UIの煩雑としてる機能は、私みたいなオタクにとってはある意味で最高の設定を突き詰めたいと思えました。
ところどころ微妙なカメラも最高の一枚を突き詰めるために、風邪を引いてまでも追求し続けました。
DADS対応機種は初めてだったので、かなり遊びまくりました。
ゲームからネットサーフィンをしても不満を感じないパフォーマンスの高さには40,000円ちょっとの価格を疑うほど感動しました。
ZenFone 3と共に奮闘したこの一ヶ月はとても楽しいものでした。しかし、私が満足したとしても一般人に対して同じかどうかと問えば答えは否です。
煩雑とした機能はユーザーを困惑させるでしょう。
飯テロにはあまり向かないカメラはユーザーを悩ませるでしょう。
デュアルSIM設定とモバイルネットワーク設定の2つをユーザーは設定できるでしょうか。
今回記事で挙げたいくつかの不満以外には基本満足しています。何度も言うとおり40,000円ちょっとの価格でこのクオリティの製品が入手できることにむしろ感動できるレベルでしょう。今期のSIMフリースマートフォンの中でも一二を争う出来の良さと言っても過言ではありません。
だからこそ、不満に感じる点が大きく見えてしまったように思えます。今後のソフトウェアアップデートで改善できることも多いかと思うので期待しています。
ちなみに、余談ですが付属のイヤホンが付属の割には割といい音を出すのでオススメです。